約 920,654 件
https://w.atwiki.jp/woosin_in_felberg/pages/328.html
ウーシン麻雀同好会 君主オンラインがメンテ中の時や、なんとなくヒマなとき そんな時には、ウーシン国民で卓を囲んでわいわいと麻雀をしませんか? 場所は主にハンゲームを利用しています。 麻雀3 練習広場 の中から、空き部屋に鍵付きで部屋を作って ウーシンBBSのスレッドの1つに麻雀専用スレを設置しましたので そちらで部屋の場所やパスワードを記載しましょう。 麻雀がわからない人も、やってみれば簡単ですので挑戦してみませんか? ウーシン麻雀同好会メンバー 名前 役職 入会日(君主暦) 時家 宴会場守令 22年7月30日
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1210.html
ああ、あいつなら無縁塚にいるわよ。 霊夢にそう教えられ、祀られる風の人間――東風谷早苗は幻想郷の外れにぽつんと存在する無縁塚をうろうろと歩き回っていた。 理由はただ一つ。今日はバレンタインデーだから、だ。 「今日こそは、邪魔が入る余地は無いわよね」 あの白黒や蓬莱人、アルティメットサディスティッククリーチャーやおっきい妖精やらネズ公やらゴールデンetcetc。 彼女たちは、と言うより幻想郷の人々は今日が女の子にとって大切な日だということはまず知らないだろう。 知っているのは渡す心配は無い連中だけだ、つまり数少ない早苗だけがリードを伸ばせる日。 それが分かっているからこそ、早苗にとっては何が何でもチョコを渡す必要があった。涙を飲んだ日々のことが頭をよぎる。 常識にとらわれすぎていて碌にシンと話もできなかったクリスマス。常識をブン投げすぎて諏訪子にすらどうかと思うと言われるようなコスプレをしてしまったハロウィン。 そもそも忙しすぎてこっそり抜け出そうとしたら神奈子にマジ泣きされた正月。 だがしかし、そんな日々も今日までだ。今日は常識をブン投げてひかれることも無い、邪魔が入ることも無い、普通にチョコを渡して、渡して、渡して。 「…………いやそれはまだ早いですよシンさん、私まだまだ巫女を続けなければいけないのに!」 妄想の中のシンはどうやらジゴロらしい、実際には童貞なのに。 身体をくねらせながら早苗の妄想は止まらない。 「え? さらって女にする? はうっ、そんなこと言われたら私あなたの女になるしかないじゃないですかごめんなさい神奈子様諏訪子様これから私シンさんのお嫁さんとして生きていきますぅ♪」 確実にシンはそんな男らしいことは言えないだろう。よっぽど色々ピンチだったりしない限りは言おうとしても噛み噛みになることが目に見えている。 見えていないのは、彼女の乙女心?によるものだろう。………妄想が乙女らしいかはともかく。 「子供は4人? そんなぁ、私の意見も聞いて下さいって……え? 何言われようが必ず4人だって? うう、そんな男らしいこと言われたらうんって言うほかないじゃないですかえへへ名前はなんてしようかなぁ☆」 というか、内容が明らかに乙女じゃない。タチの悪い少女漫画じゃあるまいし。 エスカレートしすぎて色々ひどいことになっている妄想を断ち切ったのは。 「あんりゃ? お山の神社のじゃないか、何やってんだいこんなとこで」 おっぱ―――もとい、三途の水先案内人、小野塚小町だ。今日も元気に胸が重力に喧嘩を売ったり買ったりしている。そんな小町のおっぱいを見てどっかのMS少女やヤマは血の涙を流したり流さなかったりすることだろう。 シンが見たらきっと拝み倒すであろう、素晴らしいおっぱいを前に早苗はようやく小町の存在に気づく。 「何やってると言われても……ああいえ、ちょっとした用事ですよ」 とりあえずバレンタインのことは言わないでおく。いつ何時、フラグが立つか分かったものではないからだ。 小町は別段シンに対して恋愛感情は持っていないだろうが、念には念を入れておきたい。 とはいえ、流石に胡散臭かったのか小町は疑わしげに早苗を見る。 「ふぅん………まああたいとしちゃ昼寝の邪魔しないんならいいけどさ」 「あ、大丈夫です大丈夫、静かにしてますから」 「まあならいいんだけどね。にしたって、今日はここにくる奴が多いねぇ。あんたで4人目だよ」 4人。一人はシンだとしても後の2人は。 さっさと寝転んであっという間に寝息をたてる小町にそれを聞くことはできなかった。叩き起こしたかったが、変に気分を害して騒がれたくない。 息をひとつついて気を取り直し、無縁塚をうろつきながらシンを探す。 10分ほど歩いただろうか、ようやくシンを見つける。 何をするでもなく、ただ岩に座り込んでぼんやりと無縁塚に視線を向けている姿に声をかけるべきか迷うが。 手に握った紙袋の感触を思い出し、震えないよう努めて声を出す。 「っ、あの、シンさん?」 かけられた声にようやく早苗に振り向く。 普段のシンらしくもない、抜けた行動。普段だったらここまで近づく前に足音なり気配なりで気付くだろうに。 「ああ、早苗か。どうしたんだよこんなとこに。好き好んで来るとこじゃないだろ」 「それをシンさんが言いますか……まあ、その。ちょっとしたことですよ……あの、隣いいですか?」 早苗の言葉にシンは岩を軽く払って砂を払う。早苗が汚れないように、そんな気遣いだけでどうしても顔がにやけそうになってしまう。 軽く頭を下げて座り込む。しばらくは二人とも無言のまま。早苗はどう切り出そうか悩み、シンは心ここにあらずと言った表情で。 先に沈黙に耐えきれなくなったのは早苗だ。当たって砕けろ、と心で叫んで口を開く。 「あ、あのっ。今日が何の日か、シンさん知ってましゅか?」 思いっきり上ずった声。しかも呂律が回らなかった。駄目すぎる自分に思わず頭を抱えたくなったが、シンの手前何とかこらえる。 シンはそんな早苗の言葉に、頭をかいて困っているような何とも言えない表情を浮かべる。 「………2月14日。バレンタイン、ってやつだな」 知っていた。もしかしたら知らないのかもという不安もあったがその線も消えた。 表情は気になるが、このまま勢いに任せて押しきるしかない。 「はいっ、それで」 「コーディネイターが、たくさん死んだ日だ」 ―――事ここに至り、ようやく自分が地雷を踏んでいたことに気付く。 今日は2月14日。コズミック・イラにおいてユニウスセブンに核ミサイルが撃ち込まれた「血のバレンタイン」が起こった日。 浮ついていた気分が急速に沈んでいくのが分かる。シンのことを思っているつもりだったのに、何も理解できていないと言われたような気がした。 そんな早苗の気持ちを知ってか知らずか、シンは言葉を続ける。 「……ユニウスセブンっていうコロニーにさ、核が撃ち込まれて」 「知って、ます」 早苗の言葉に、口を閉じてもごもごと動かして「そうか」と一言だけ返す。 幻想郷に来て以来、早苗ともそれなりに長い付き合いになるが、外の世界では自分は機動戦士なる作品の登場人物などという突飛な事実があるということは多分ずっと慣れないだろうと内心で思う。 「別に、さぁ」 ごろりと岩に寝転がり、空を見る。 コロニーが見えるわけでもないが、なんだか無性に空を見上げたかった。 「俺にとっちゃもう無関係なんだよ。別に家族がそれで死んだわけでもないしテレビのニュースで知って大変だったんだなぁって思ったぐらいだからさ」 僅かに早苗は眉を寄せる。シンが何を言いたいのかがつかめない。 それはシンも同じらしく、何度か意味のない言葉を口にしながらゆっくりとした口調のまま自分の今考えていることを吐きだしていく。 「でも、さ。だけど……うん、なんて言うのかな。俺の故郷が戦争に巻き込まれて家族が死んでさ。その時はがむしゃらで、色々考えたりする余裕がなかったんだけど、プラントに着いて半年ぐらいだったかな、ちょっと落ち着いて気持ちの整理がついたら思ったんだよ」 大きく伸びをする。 一つ頷き、ある意味彼らしくないさっぱりとした笑顔を浮かべながら。 「ああ、こういう気持ちだったんだなっ、ってさ」 「こういう、って?」 どう返していいか分からず、とりあえずよくわからなかった部分に反応を示す。 「大切な人が亡くなるってこと。ホント、つらくてさ……自分と同じ思いをした人たちがいるんだって思うと、なんかな」 優しい微笑み。 死ぬ亡くなるといった話の最中なのに思わず見とれてしまいそうな穏やかな顔。 「変な話だよな、それまでは何とも思ってなかったのに。なんか、急に……悼みたくなって、な」 シンはそういい、黙祷するように目を瞑る。 ……今自分が浮かべている、恋する少女のような顔を見られなくて本当によかったと早苗は思う。 もしシンに見られたら、自分の思いを何もかも喋ってしまいそうだったから。それはきっとずるいことだ。そんな言葉は、シンを振り向かせるのではなく、ただ縛りつけるだけでしかないから。 ぱちりとシンが目を開くのと、早苗の顔から厚さが抜けるのはほとんど同時だった。 「それからだよ。俺が戦えない人達が自分らと同じ思いをしないで済むために強くなろう、って決めたのは」 あんまり貫けなかったけどな、そう情け無さそうに笑って息をついた。 やがて頭をかき。 「俺の友達がさ、ユニウスセブンが地球に落ちたら色々片がつくって冗談で言ったことがあってさ。いくらなんでも不謹慎だって言おうとしたんだけど」 知っている。その冗談を真面目に取ったカガリ・ユラ・アスハとまた衝突したのだった。 「あんときゃ情けなかったなぁ………カガリに言いたいことぜんぶ言われちまって。ガキみたいに突っかかることしかできなかったなぁ」 意外だった。てっきり大袈裟なアスハに腹を立てたのだとばかり思っていたのに。 早苗の視線から、なんとなく言いたいことが分かったのだろう、苦笑しながら続ける。 「本当はさ、喜んだってよかったんだよ。なのにつまんない逆恨みで意地はって。カッコ悪かったろ?」 そんなことない、と言いたかった。非は国民を守れなかったオーブにあると。 だが、なんの負の感情も混じっていない―――あえて言うなら、後悔だけはあった―――シンの表情に、結局何も言えなかった。 やがて、シンはわざとらしく手を叩いて無理やり話を打ち切る。 「あー、そのなんだ、悪かったな。つまんない自分語りしちゃってさ。引いたろ?」 ぶんぶんと強く首を横に振る。 目が回りそうになるが、そんなことお構いなしに振りたくった。 「そんなことないです、絶対そんなことないです。ていうか、そんなこと言わせないです引くとかつまんないとか言う人いたら絶対許せないです絶対ったら絶対です」 「ちょ、落ちつけ落ち着けって! ンなヒートアップすることじゃないだろ」 肩に手を置いて早苗を落ち着かせようとする。 早苗もそんなシンに対して少し落ち着いたのか、鼻息を荒くしながらも自分の膝を抱えこむ。 そんな早苗を訝しげに見ながらも、シンは仕方ないなぁとでも言いたげに笑いを浮かべる。 「別にいいじゃないか、つまんなくったって。俺でも陳腐だなぁって思うぐらいだし」 「……例えそうでも、人の心からの言葉を嗤うことはいけないことですよ。許しちゃいけないことだと思います」 「そっかな?」 「そうです!」 思いもよらない早苗の剣幕に思わずたじろいでしまう。が、同時にくすりと笑ってしまう。 「な、なにがおかしいんですか?」 「ああいや、そうじゃなしに。なんだな、うん。俺のために本気で怒ってもらうと、そのなんだ」 「すごく、嬉しいんだなぁ。ありがとうな、早苗」 はにかむような、それでいて満面の笑顔で。早苗の心を撃ち落とす。 思わず視線をそらしてしまう、そうでなくては腰が砕けて赤面してしまう。 それだけは避けなければ、シンのことだからそんな自分に「どうした、熱があるんじゃないか?」などとのたまいつつデコを当てられてしまうだろうから。 (ず、る、い、シンさんはずるい――――――!」 どれだけ自分が、否、自分達が恋心を隠すのに必死なのかまったく気付かずに無自覚にさらなる深みにはまらせようとする。 それがずるくなくて何だと言うのか。 そんな早苗の心中を知る由も無く、シンは呑気に伸びをしながら深呼吸をする。 「んーーーー、んぁ。んぅ、なんか寒くなってきたな……大丈夫か、早苗?」 「ふぇ? ………あ、ふぁい大丈夫でしゅ!」 「そっか、ならいいんだけど………つーか、この寒空の中なんでまたこんなとこまで来たんだ?」 あなたを追ってきたんです。そんな言葉を真正面から吐ければどれだけ楽なことか。 適当な言い訳を探そうとする早苗にシンは首をかしげて。 ようやくそれを見つける。 「ん……あれ、どうしたんだその紙袋」 「っ!?」 とうとう気付かれた。できればこのまま流したかったのだが。 さてどうしたものかと悩み、迷い、考え。 「……あの、今日はバレンタインデーじゃないですか」 結局事実を話すことにする。 シンから空気の読めない奴と思われるのは覚悟の上だ、ここで嘘をついたりしたら自分の心を吐露してくれたシンに申し訳が立たない。 「だから、その。チョコ」 「チョコ?」 「はい………シンさんに、あげようと思って」 思わず溜め息をついてしまう。溜め息をついたら幸せが逃げると神奈子に言われていたが、それでもこれではつくしかない。 「ごめんなさい、空気読めてなかったですよね?」 シンは何も言わず、困ったような顔を浮かべて頭をかいている。 んー、と喉の奥で声を転がし。 「………そうだな、読めてない」 声にとがめる様子は無かったが、内容は想像していた通り。 覚悟はしていたが、やはり落ち込んでしまう。 そんな早苗の様子を見て、少し迷ったがシンは頭をなでる。 「……そりゃさ、空気読めてなかったけど。けど、別にいいじゃないか」 「よくないですよ………嫌だったでしょ、シンさん」 「早苗がな」 意に介するでもなく、頭をなでながら言葉をつづけるシンの顔を思わず見る。 申し訳なさそうな、優しい顔。 「早苗がな、俺のこと馬鹿にするつもりで空気読まなかったんだったら、多分嫌だったろうな」 何も言えずに、ただなでられるがまま。 どこか父性を感じさせる表情でシンは言葉を続ける。 「そうじゃないんだろ? たまたまタイミングが悪かっただけ、そうだろ?」 「………はい」 「じゃ、それでいいじゃないか。誰かが自分のことを思ってくれるのは、その場の空気なんてよく分からんものだけで嫌がるようなもんじゃないよ」 シンの言葉に、返すべき言葉が見当たらず結局返した言葉は。 「それでいいんですか?」 「ああ、それでいい。人の好意を受け止められなくなったら、それこそ空気が読めないことだと思うよ、俺は」 ぽん、と頭を優しく叩いて紙袋を持ちあげる。 その紙袋の重さこそが早苗の好意の表れだと僅かに自惚れて。 「チョコ、ありがとうな早苗」 そう言い、確かに受け取った。 照れ臭そうに鼻をこすり、わざとらしいほどに大きな伸びをする。 「さぁって、俺はもう少しここにいるよ。お前はどうする?」 「んー、そうですねー……うん、おうちに帰ります。ご飯の準備もしなくちゃですし。シンさんはまだお祈りするんですか?」 「まあね。白玉楼の知り合いから、自分の分も代わりに祈っといてくれって頼まれてるし。でもま、もうちょっとしたら帰るかな」 「そうですか……風邪引かないようにしてくださいね?」 「あっはは、それだけは大丈夫だ。体が資本なんだ、無理はしないって」 「わ、嘘くさい。いっつもそう言って無理してる気がしますよー?」 「そいつは気のせいだっ、絶対気のせいだうん、そりゃ何度か死にかけてるけど多分気のせい……だと、いいなぁ?」 二人して何ともない会話でくすくすと笑う。 今はこれでいい、と早苗は思う。今は似たような境遇の友人で。だけど、いつかは。 「………ああ、シンさんでよかったなぁ」 「ん、何がだ?」 不思議そうな目を向けるシンをかわすように空を見上げて、目を閉じる。 願わくば、死んでいった人々が安らかであるように。 願わくば、残された人々がまた失う恐怖にさらされないように。 「ナイショ、です♪」 そして、いつかちゃんと幸せになれるように。与えられる神の奇跡なんかじゃなく、自分の手で幸せを掴めるように。 風祝ではなく、一人の恋する少女としてただ願い続ける―――― おまけ 「にしても………チョコかぁ。なあ、早苗」 「は、はい、何ですか?」(え、何、何なのこの真剣な目! あれ、もしかして、立った? フラグ、立ったの?) 「こんなこと言うのもなんだけどさ………」 「は、はひっ!」(ああ、ごめんなさい神奈子様諏訪子様、私、今日限りで巫女やめちゃいます☆) 「その、本命以外に渡すのはどうかと思うぞ?」 「……………………………………ゑ?」 「あのなんだ、そういうことされると、勘違いしそうになるから、な?」 「…………………………………………………はッ!? い、いけない、あまりのボケっぷりに意識がトびそうに!?」 「ボケって……ひでぇなぁ、俺はむしろツッコミだって」 「くそうッ、そりゃあこの人の鈍感ぶりを忘れてた私が悪いんだけどさぁ! だからって何なんですか、っていうかマジボケ!?」 「いや何の話だって?」 「こ、こうなったら仕方がない! シンさん、あのチョコは正真正銘のほんめ「ああっ、いたいたいた、いましたよー!」……」 「おお、文さんか。その節はどうも」 「そうですねー、って違う! ちょっと貴女のとこの二柱がなんか神話大戦起こしかけてるんですよ早いとこ何とかして下さい可及的速やかにハリーハリーハリー!」 「あ、あのすいませんちょっとまtt「ええい、じれったい! こうなれば力ずくで!!」聞いて下さいよ!?」 「じゃ! そういうことで!」 「頑張れよ早苗。応援してるぞ」 「うわぁ止める気ゼロだ!? 待って下さい、私ホントはあなたのこと」 「それじゃ、とばしていーきーまーすーよー!」 「うわぁぁぁああぁあああん神奈子様と諏訪子様のアホオォォオオォオオォォォォーーーー――――」 おまけ・2 「………なんだったの? なんか騒がしかったけど」 「ああ、キラさん。いや、早苗も大分幻想郷になじんだんだなぁ、って」 「へー………まあ絶対そういうことじゃないんだろうけど。君も来てたんだね」 「ん、まあ一応は……あんたも来てるとは思わなかったですけど」 「そりゃ来るさぁ、僕だって色々思うとこぐらいあるよ………ああ、アスランも来てたよ。もう帰ったけど」 「へぇ? 珍しいですね、アスラン来たのに嫌そうじゃないですけど」 「ん、アスランは今日だけは真面目になるよ。今日は、命日だし」 「………ああ、母親が、でしたっけ」 「うん。ホント、いい人だったよ。学生の時ちょっと会っただけだけどね」 「ふぅん………」 「うん…………」 「………………」 「………………そういえばさ。チョコ、もらえた?」 「は? え、ええまあ、早苗から一つ」 「ふーん。よかったじゃない」 「………な、なんか企んでます? 妙に素直ですけど」 「あはは、ないない。今日だけは変な企みは無し、普通にしてるよ」 「ふぅーん………」 「…………」 「…………なんか、飲みます? 酒とか」 「ああ、いいかもね。きっついの飲んで、色々忘れるのもいいのかも」 「そうですね。んじゃ、決まりってことで。アスランはどうします?」 「誘おうか。瓶で呑ませてぶっとばすのもいいんじゃないかな」 「あはは、そりゃいいな。それじゃいったん帰って霊夢から酒もらってきます」 「うん…………ねえ、シン」 「ん、何ですか?」 「…………なんでも、ないよ」 「そうですか、なんでもあるんですね。まあ俺は何考えてるかは知りませんけどね、そういうことを忘れるために飲むんでしょうが」 「………うん」 「まったく………あー、似合わね、素直なキラさん似合わねー」 「なにそれ、ひっど。ほら、きりきり行ってきなよ、僕がアスラン誘っとくから」 「へーいへい」
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1300.html
魔理沙『んでさぁ、どうにもならなくってしょうが無しに焼いて食ったら旨いのなんのって。なんだったかねーあの茸』 アリス『へー、そうなの? どんな形だったの、今度見つけて肴にしたいから……ってぇ、ちょっとお、シーンー! おつまみ遅いわよー!?』 シン「今やってるよ! ったく、人使いの荒い……上海達には甘いくせしてさぁ」 キラ「まあしょうがないんじゃないかな。黙あって、作るのさーシぃンー。おとこだーかぁらぁぁぁぁ(ジュッアヅーッ!?」 シン「なんスかその海が青いブルーになりそうな歌は」 キラ「君は、君こそ! フライパン指に押し付けるとか何なの、死ぬの!?」 シン「死ねよ」 キラ「残念、僕じゃなくても死なないよ!」 シン「ああうぜぇうぜぇ。つーかキラさんなんでいるの?」 キラ「存在しちゃダメですか?」 シン「……はははっ」 キラ「いや何その笑い。帰れって? じゃあお茶漬けちょうだいよ」 シン「帰れ。アンタにはお茶漬けはもったいないよ」 キラ「じゃあ何ならもったいなくない?」 シン「…………土?」 キラ「せめて食べ物でお願いします、できれば幼女がいいな」 シン「あ、もしもし四季さん? ちょっと変態がいるんですけど」 キラ「違うよ変態じゃないよ、例え変態だとしても紳士という名の変態だよ!」 シン「要するに変態だろ。ああ、すいませんこちらで処理しますんで。ええ、はい。夜分スイマセンでした。はい……はい、それじゃあ」 キラ「危機は去った……あれ、どうしたのシン。その手に持ってる包丁はなぁに?」 シン「処理します」 キラ「いやいやいや、ちょっと生々しいよその得物は」 シン「ほぼ毎日アリスが振り回してますが、なにか」 キラ「………まあ大方君が悪いんだろうけど」 シン「悪くないですー朝は和食がいいってだけですーアリスがわがままなだけですー」 キラ「語尾伸ばさないでよ、いい年して」 シン「キラさんにだけは言われたくない。つーかさぁ、実際アリスは(ボムッッ」 キラ「シンの頭が火を噴いた!?」 アリス『は よ し ろ !』 霊夢『落ち着きなさい、あんたの家が焦げ臭くなるだけよ』 シン「髪の毛爆発させやがったあの女……まあこれ以上は命がヤバいし真面目に作るか」 キラ「慣れてるねぇ……んで、何作ってるのさ」 シン「ん、たこ焼きの……たこの代わりに鳥の軟骨刻んで入れてみた。なんか屋台で食ったら旨かったんで」 キラ「へーへーへー。型も無しによく作るよ……あ、もう結構できてるんだ」 シン「ええまあ。食べてみます?」 キラ「あ、いいの? じゃ出来立てのやつを」 シン「仕方ないなぁ……はい、アーン」 キラ「………あのさぁ、そういうことは女の子にやろうよ。君、僕とフラグ立てたいの? 僕ヤダよ、これ以上アスランが増えるのは」 シン「奴を変態の代名詞みたいに言うのもどうかと。っていうか考えすぎでしょ、アーンぐらい男同志でも普通にやりますよ」 キラ「それは君だけだと思うなぁ。じゃちょっと手の平に乗せて……いただきまーす(パクッ モニュモニュモニュ こ、これはッ!」 キラ(べちゃりとした表皮、その下に包まれたドロドロとした食感、ネギの青臭さと紅ショウガの辛さがベストマッチせずに不協和音を奏でている。極めつけは軟骨だ、ゴリゴリとしていてなおかつ血なまぐさい……これは、これは、これは………) キラ「生だこれー!? うぉおおお、口の中が不快感に満たされるぅ!?」 シン「わあ大変だ、キラさんこれ飲んで」 キラ「酢! さらっと出してるけどそれ酢でしょ!?」 シン「チッ」 キラ「謀ったね、謀ったねシン!」 シン「ええ量りました、量りましたとも! この計量スプーンでなぁ!」 キラ「スプーン、スプーン! そんなもののために、僕らの未来はっ!」 シン「大さじが一杯!」 キラ「たどり着いた未来が、僕らにっ!?」 シン・キラ「「うぉおおおおおおお!!」」 魔理沙『あははっ、本当にアリスは馬鹿だなぁ。私ならそんなことしないぜ』 アリス『な、なによぅっ、しょうがないじゃない、うっかりぐらい誰にでもあるでしょ!?』 霊夢『そうそう、魔理沙にだけは言われたくないわよ』 魔理沙『な、なんだよー。いいじゃないか別にっ。最近ツッコミが厳しいぜ、霊夢』 霊夢『あらそう? むしろ甘くしてたんだけど……じゃ、お言葉に甘えて厳しく行こうかしら』 アリス『ふふっ、墓穴掘ってるわよ魔理沙?』 魔理沙『あううっ』 馬鹿「……………」 キラ「やめよう、空しい」 シン「ソデスネ」 キラ「にしても、向こうはいいねぇ華やかで。むしろ百合ん百合んっていうか」 シン「そですね……つーか、嫌そうですねキラさん。喜びそうなのに」 キラ「あーうん……なんつーかね、あの凸を思い出して」 シン「あ、ああ……うん、なんか分かる」 キラ「あ、分かってくれる? なんていうの? 悪人じゃないだけ余計タチ悪いっていうかさ」 シン「そうそう、そんな感じで」 アリス『で、でも私! そんな魔理沙がす、す、す、す、す、す…………すっぺらぴっちょん!』 霊夢『何あんたコロッケでも作る気?』 キラ「……いやー、にしてもホントアリス、魔理沙が好きなんだねぇ」 シン「みたいですね、まったく人の気も知らないで」 シン「よっし、完成ー」 キラ「うぇ!? いやちょ、君今なんて」 シン「んじゃ俺持ってくんで。ああ、後2、30秒したらその鍋の蓋とってリビングに持ってきてもらえます? ソース入ってるんで」 キラ「え、え、え、え、いや、そうじゃなくて君今とんでも無いことを」 シン「ホイホイお前ら待たせたなー」 魔理沙『いやいや待ってない……ってふぉおお、おいしそー!』 シン『ああもうちょい待て、ソースが来るから』 アリス『また和か……あんたここが洋館だってこと分かってる?』 霊夢『まあいいんじゃない? 私は和のほうが好きだし』 魔理沙『おいしそうならなんでもいいよ。細かいなぁアリスは』 アリス『魔理沙がそう言うんなら……もうちょっと空気読みなさいよシン』 シン『へいへい、悪かったでーすーねー。ああこら、一人で食おうとするな蓬莱。上海、オルレアン、ちょっと蓬莱抑えといてくれ。お前らの分もあるから』 魔理沙『おお、有能家政夫!』 シン『ほっとけ。あ、コラ、アリス、散々好き勝手言っといてお前は何勝手に食って』 アリス『ふーんだ。んー、なんだおいしいじゃない。やっぱあんたに任せて正解ね、うんおいしいおいしい』 シン『…………そりゃどーも。あ、ちょ、だからお前らソースがくるまで待てと』 キラ「………………………………………………え?」
https://w.atwiki.jp/sin-changerowa/pages/371.html
地図上においてA-3と記された位置、 そのエリアの大部分を占める雪の降り積もった村の中、 そこにある名前の無い民家の中に二人の外星人、ウルトラマンとメフィラスはいた。 「………それは一体、何なのかな?ウルトラマン」 「………私への支給品の一つだ。一応は…武器……なのか?」 民家の中で合流した後、最初の一時間が経つまで、二人は自分達の支給品を軽く確認しようとしていた。 その過程で、ウルトラマンの持っていたデイパックの中から一つ妙な品が出てきた。 それを見た時、2人の表情は少し怪訝なものになった。 端的に言うと、それは横断歩道の歩行者用の信号を象った斧だった。 実際にこの斧の名前も、そのまんまシンゴウアックスと言うらしい。 ご丁寧なことに(?)、持ち手部分には横断歩道においての歩行者用の押しボタンのようなボタンも付いていた。 そしてこの斧には、本来の信号なら歩行者専用等と書かれるだろう部分に、ライダー専用等と書いてあった。 それがあるのは、斧としての刃の部分の丁度横部分でもあった。 「…つまり、今の私に専用の武装というわけになるのかな?」 「待て、まさかお前の肉体もライダーと呼ばれる存在だったのか?メフィラス」 「何?……まさか、そんな偶然もあったとは…いや、こちらの肉体を決めているのは向こうだから、もしやこれは意図的に…」 支給品からそんな話題に話が膨らんできた、そのタイミングだった。 彼らの持つタブレットからアラームが流れ、映像が勝手に映し出された。 ◆ 「1時間で8人か…しかも中には、我々と同じく外星人と思われるものが精神側には1人いたようだ」 「………1人?」 「ああ、確かに地球人類に見えない者は2人程いたな。だが、1人はおそらく地球由来の存在だと考えられる」 「……誰がそうだ?」 「玉壺と呼ばれていた者がそうだな。目と二つに増えた口の位置が反転し、片目は額に移動していたが、アレは確かに地球人の肉体だと思われる。それに、目の方には地球の文字、漢字が刻まれていたからな」 「…なるほど。確かに、その可能性はあるかもしれないな」 「仮に地球人だとして、何故あんな姿になっているかの理由は不明だが」 放送で発表された、最初の一時間内の死亡者情報について、ウルトラマンとメフィラスは互いの意見を交換し合う。 「……まさかとは思うが、今の玉壺とやらを見て、地球人類の新たな兵器への開発の可能性が思い浮かんではないだろうな」 「………こんな環境でそれを一々気にかける暇はないだろう、ウルトラマン。それに光の星の対応からして、もう私がそのようなことをするのは難しいだろう」 メフィラスが少し興味を惹き付けられているかのような表情をしていたことから、ウルトラマンがそれを指摘する。 「今はこんなことを話している場合じゃない。とりあえず、1時間で8名死亡する程度には殺し合いに乗っている者達がいるのは分かったんだ。次にやるべきことは、データ配布された名簿の確認だろう?」 「ああ、その通りだ」 2人はタブレット画面を操作し、配布された名簿の内容を確認する。 「………私のことは、ウルトラマンと表記されているか」 「そう言えば、その名はあくまで地球人類が付けたものだったな。向こう側は、君の本来の名を把握していないのかもしれないな」 「…易々とそう断じるのも早計な気はするが。他にも、おそらく本名ではないと思われる名はあるだろう」 「確かに、他のそういった者達の違いも気になるところだな」 まず最初に気にしたのは、ウルトラマンが名簿上においてもウルトラマンと書かれていることだ。 ウルトラマンは、あくまで地球上においての呼称だ。 光の星における本来の名は、『リピアー』と言う。 「……ゾーフィ。まさか、この名をここで見ることになるとは」 「ゾーフィ…光の星の裁定者か」 「…こちらの名は把握していたか」 「先ほどと言うことは変わるが…裁定者の名があるということは、もしかしたら、君の本来の名を把握した上でウルトラマンと表記していたのかもしれないな」 「向こうはあくまで、私をウルトラマンとして扱いたいという訳か」 「もしかしたら、君への挑戦というつもりもあるかもしれないな。なあ、地球人類のヒーローさん?」 「…………さあ、どうだろうな」 名前の表記について、ちょっとした推察を少々煽るような声音で言う。 ウルトラマンはそれを軽く受け流す。 「それで、裁定者がいること自体には君はどう思う?ここにおいては、一体どんな方針でいるのだろうな?」 「……それはおそらく、私と地球人がゼットンを倒したことに対し、どう感じているかで少し変わるだろう」 ウルトラマンの認識としては、自分はゼットンを倒した直後にここに来た。 本来の歴史において、ゾーフィが迎えに来る前のことだ。 だからゾーフィについても、同じくらいの時期にここに連れてこられたという認識となる。 「ゼットンを倒したことについて、彼が地球人の知恵と勇気に対し敬意を抱いてくれるのであれば、全うに殺し合いの打破を目指すだろう。しかし、もしより地球人を脅威として危険視することになるのであれば、該当する者達を殺害しようとする可能性が発生すると考えられる」 「なるほど。確かにあのゼットンを倒すとなると、敬意と脅威、どちらも感じる可能性は存在するか」 「けれども、如何にせよ殺し合いの打破までならば、どの場合でも最終的には目指すと思われる」 「ならば裁定者に対しては、もしもの時は説得を行う必要があると、そのように考えても良いのだろうかな?」 「……確かに、そう見るべきだろう」 「しかしやはり、果たしてそう上手くいくのだろうかな?光の星の宇宙のためならばと起こす行動の問答無用さは私もよく知るところだ。だからこそ、私はあの時裁定者を見て直ぐに避難行動に移したのだがね」 「………それも考慮している。やはりどのように対応するかは、実際に会合したその時に判断する他ない」 本来ならば、ウルトラマンはゼットンを倒した後、吸い込まれたプランクブレーンの中で発した信号によりゾーフィと再会するはずだった。 しかしここにおいては、本来の歴史でそうなる直前辺りの記憶までしかウルトラマンは有してない。 だから、ゾーフィが地球人に対して現在どのような見方をしているのか分からない。 けれども流石に、殺し合いに積極的に乗るような者ではないことも分かっている。 今ゾーフィについて考えられるのは、たとえ地球人をどんな見方をしていようと、殺し合いの打破の方を最優先してもらいたいということくらいだ。 もし、地球人類の排除も並列しようとしているならば、その際は説得の必要性があるということになる。 せめて、もし会合することがあれば、話が通じることを今は願うしかない。 ◇ 「他には…明らかに外星人だと言っているような名前も一つあるな」 「ああ…思いっきり『対話宇宙人』等と書かれているな」 次に2人が気にしたのは、『対話宇宙人 メトロン星人』という名で名簿に登録されている参加者についてだ。 「対話宇宙人等と言うからには、きっと私のように対話で平和的に他の種族と交流を持とうとしている外星人なのだろうな」 「………お前の言う対話とは、相手に言葉の真意を悟らせないようにして都合の良い言質だけをとろうとする、悪質なものだろう」 「…悪質とは心外だな」 メフィラスの発言に、ウルトラマンは少し指摘を入れる。 メフィラスは少しだけ渋そうな反応を示す。 「まあ何にせよ外星人であるのならば、我々が接触する必要性はあるかもしれないだろう」 「……件のメトロン星人だが、身体側にも名前があるな。表記が違うことからして、別個体のようだが」 「確かにな…こちらには対話宇宙人等の表記は無いな」 「その代わりにあるのは、タルデという名とラウンドランチャーという表記…ランチャーと言うからには、何かを発射する能力を備えているということか?」 「そう考えると、こいつの身体を宛がわれた者は手の内が他の者達に予測されるのが少し可哀想にも思えるかもな」 「……対話宇宙人と表記されている方は、これをどう感じているのか」 「案外、その対話宇宙人にこのラウンドランチャーの方が与えられている可能性もあるかもしれないな。先ほど君が言ったように、同じメトロンでも別個体のようだからね」 ウルトラマンとメフィラスは、外星人と思われる者の話を続ける。 如何にせよ結論としては、自分達と同じく外星人の可能性が高いのであれば、とりあえず接触してみるに越したことはない。 地球外の知的生命体同士であるならば、人類に対する互いの方針を確認し合う必要性があるかもしれないだろう。 ウルトラマンとしては同じ外星人であることの責任感故に、そしてメフィラスは好奇心故に。 ◇ 次に2人が気にするのは、タブレット内に追加された地図についてだ。 特に、先ほどの放送で伝えられていた『精神の入れ替えを可能とする施設』については2人も気になった。 「それらしき施設は…地図に乗っている名前だけでは判別は難しいか」 「僅かでも気になるところを挙げるとするなら…何故だか人が住むだろう街から遠く離れた森の中にある『ゲームセンター』や、明らかに病院には付けてはいけない名前の『ペシミズム厭世病院』くらいか」 「……ペシミズムとは確か、それがそもそも悲観主義・厭世主義を意味する言葉。そして厭世とは生きることは苦としか感じられない、良くなものだという考え方を意味する言葉か。確かに、人間の命を救うための病院には似つかわしくない名だな」 「ええ…それらの言葉は、私もあまり好きではないですね」 地図にある施設にいくつか小さな違和感はあれど、それが入れ替えのためのものであるという根拠には全くならない。 結局、今ある情報だけでは一つずつ確かめてみないと件の施設にたどり着くことは不可能だろう。 「そもそも、我々がその施設に積極的に向かう必要は無いんじゃないかな?ウルトラマン。我々は今の肉体のままでも十分ではないかね?」 「それも一理あるが、もしその施設の詳細を把握することが可能ならそれに越したことは無い。我々に協力できる者で、その施設を使いたいと考えている者もいるかもしれないからな。……そのような者が必ず存在するとも限らないから、確かに優先度は高くなくても良いだろう」 「……その特殊な施設の存在が前提にあってもなくても、地図上で記された施設に行こうとする者は現れるかもしれないな」 精神入れ替えが可能なものがあるかどうかはともかくとして、地図上で施設だと記された場所は他参加者がとりあえずの目的地として設定する可能性も否定できない。 他に誰か協力できる者を探すのに、向かってみる価値はゼロでは無いだろう。 危険人物が来る可能性はあるが、その場合でも都合が悪いわけではない。 殺し合いを打破するならば、むしろそういった人物は積極的に無力化しなければならない。 「とりあえず、我々のいるこの村の中には禪院邸という施設があるようだ。一先ずはそこに行ってみるか?」 「……一応行ってみるだけ、全くの無駄ではないだろう」 「それじゃあ、次の行動は決まりだな」 2人はそこまで話すと席を立ち、荷物をまとめ始める。 実際に放送での件の施設があるかどうかはともかくとして、そこに他参加者が来る可能性は無くはない。 2人は自分たちがいた民家の中から外に出て、次の目的地に向けて歩き出した。 【一日目/A-3 村/深夜】 【ウルトラマン@シン・ウルトラマン】 [身体]:本郷猛@シン・仮面ライダー [状態]:健康 [装備]:タイフーン 仮面ライダーの戦闘服 ヘルメット@シン・仮面ライダー [道具]:基本支給品、シンゴウアックス シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ、ランダム支給品0~1 [思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる 1:メフィラスはとりあえず信用する。 2:一先ずは禪院邸に向かう。 3:ゾーフィに会えたら協力するよう説得する。 4:外星人と思われるメトロン星人という者にはどこかで接触しておきたい。 [備考] ※参戦時期はゼットン撃破後 【メフィラス@シン・ウルトラマン】 [身体]:風祭真@真仮面ライダー・序章 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる 1:一先ずは禪院邸に向かう。 2:外星人と思われるメトロン星人という者にはどこかで接触しておきたい。 3:裁定者(ゾーフィ)の説得は、果たしてそう上手くいくものなのだろうかな? [備考] ※参戦時期は地球を去った後 [支給品紹介] 【シンゴウアックス シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ】 仮面ライダーチェイサーが主に使用する、横断歩道用の押しボタン式信号機のような形状をした斧。 刃部分の反対側に必殺技発動のためのシグナルバイクを入れるスロットがある。 ここにおいてはその必殺技発動用のシグナルバイク、シグナルチェイサーも一応付属しているものとする。 シグナルチェイサーをスロットに入れた後、持ち手の押しボタンを押して、『マッテローヨ!』という音声が流れた後に刃部分にエネルギーがチャージされ、『イッテイーヨ!』のエネルギー充填完了音声が流れた後にトリガーを引くことで必殺技を発動できる。 エネルギー充填中は実際の信号機よろしく赤のランプが灯り、エネルギー充填が完了すれば青のランプが灯る。 28 初日の出 投下順に読む 30 森は人を迷わせる 27 支給品になったおまえが悪い 時系列順に読む 登場話29 だって「シン」だもの ウルトラマン メフィラス
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/223.html
シン・アスカ(Shinn Asuka)登場作品 なくては始まらない重要な人物、そして「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の 「主 人 公」である。 地球で生まれた2世代目コーディネイターで、髪はコーディネイターでは珍しい黒髪である。 SEEDDESTINYの3年前、つまりSEED当時は両親と妹と共にオーブで暮らしていた。 だがCE.71年6月15日に地球軍により行われた「オーブ開放作戦」に巻き込まれ、両親と妹を目の前で亡くしてしまう。 この時シンは妹の携帯を拾うために家族から離れていたので難を逃れた。 終戦後、シンを保護したトダカ一佐の後押しでプラントへ渡りアカデミーに入学した。 「力が無ければ駄目なんだ」と、力が無い故に失い、守る事が出来なかった無念を糧に。 その後は努力の甲斐ありエリートの証である「ザフトレッド」を身に纏った。 戦争前半はインパルスガンダム、その後はデスティニーガンダムに乗り換え、レイ・ザ・バレルの駆るレジェンドと共にザフトのエースとして活躍した。 自分の意思は決して曲げない、悪く言えば頑固者の傾向があり、アカデミー時代は周囲や教官、後には上官となったアスランとも衝突するなど問題児であった。 それでもザフトレッドの地位を手に入れた事を考慮すると、アカデミーの成績はよほど良かったのであろう。 作中では上官であるアスラン・ザラとの衝突が絶えないで居た。 上記のように頑な性格をしてはいるが、強化人間のステラ・ルーシェや力を持たない者に対しては優しい表情を見せ、レイに対してはとても素直。 レイもステラを地球軍へ返還する時も自身を省みず手助けするなど深い信頼関係が存在している。 本人は無自覚だがかなりのシスコンであり、形見であるマユの携帯に残っていた彼女の声をよく聞いていた。 彼のあだ名である「ラッキースケベ」は偶然の事故でステラの胸を触ったのを目撃した同僚のヨウラン・ケントがつけたもの。 主に最終話でアスランに敗れ際に次元跳躍をするなどの要因で異世界に来るのが多い。 SEEDキャラの中では5人目の「SEED」保持者、割れる種の色は「赤」。 主人公であるにも関わらず前作主人公のキラ・ヤマトを初めとした他のキャラ達に出番を奪われて、碌に出番が無かった。 おかげで陰では空気呼ばわりされることもしばしば。 果てにはスタッフロールのキャスト欄では3番目に落とされているというの不遇をかこってしまう。 作中では鈍感で気づかぬうちにフラグを立ちまくる、所謂一級フラグ建築士になっている事が多い。 おかげであらゆる世界で良くも悪くも騒ぎの中心になる日々が続くが、無意識の中で彼自身「こう言う日常も悪くない」と思っているらしい。 恐ろしい程に不死身でSLBやラグナロクを喰らっても多少の怪我で済む。 また職人の作品ごとにスタンスやポジションが大いに異なる。 なのは関連へ なのは関連その2へ みつめてナイト関連へ サモンナイト関連へ ローゼンメイデン関連へ 悠久幻想曲関連へ THE IDOLM@STER関連へ 涼宮ハルヒの憂鬱関連へ ARMORED CORE関連へ 東方Project関連へ 東京魔人學園伝奇関連へ D.C関連へ ゼロの使い魔関連へ SHUFFLE!関連へ 擬人化関連へ ネギま関連へ 地獄少女関連へ デュエルセイバー関連へ ナイトウィザード関連へ デモンベイン関連へ 多作品クロス及び分類不能へ 多作品関連その2へ
https://w.atwiki.jp/sin-changerowa/pages/59.html
とある民家の居間。 物々しい戦闘服の上からコートを着込んだ青年が、タブレットを操作している。 青年に宿る精神は、人間のものではない。 厳密には、地球人のものではない。 宇宙の彼方、光の星から地球にやってきた巨人。 地球人から、「ウルトラマン」と呼ばれた存在だ。 「本郷猛……」 ウルトラマンは、タブレットに表示された肉体の名前を読み上げる。 「秘密組織SHOCKERと戦うサイボーグ、『仮面ライダー』か……。 彼もまた、誰かを守るために戦った者。 この肉体、無碍に扱うわけにはいかないな」 タブレットをしまいつつ、ウルトラマンは決意を固める。 彼は元々、殺し合いを破壊するつもりでいた。 だがおのれに与えられた肉体の素性を知り、その決意はさらに固まる。 「本郷猛も私が見てきた人間と同様、素晴らしい精神を持つ人間の一人だ。 その肉体をもてあそぶような真似を、許すわけにはいかない。 必ず、この殺し合いを企画した者を打ち倒す」 口に出して宣言するウルトラマン。 その直後、どこからともなく拍手の音が響いてきた。 「誰かいたのか……。姿を見せてもらおう」 「では、お邪魔するよ」 ドアを開けて入ってきたのは、鍛えられた体つきの青年だった。 その精悍な顔つきの奥に宿るよこしまな雰囲気に、ウルトラマンは覚えがあった。 「おまえは……まさかメフィラスなのか?」 「ご明察。さすがだな、ウルトラマン」 自分の言葉を肯定した相手に対し、ウルトラマンは迷わず攻撃態勢を取る。 かつての仇敵が目の前に現れたのだから、当然の反応である。 「よそう、ウルトラマン。 私たちが争っても仕方がない。 私も君と同様、この殺し合いを止めたいのだからな」 「それは本当か、メフィラス」 「もちろんだ、ウルトラマン。 思い出してみろ、私は地球人を戦力として活用しようとしていたのだ。 その総数を減らす行いなど、賛同できるはずがない。 弱肉強食、私の苦手な言葉です」 飄々とした口調で、メフィラスは語る。 「おまえを信用しろというのか、メフィラス」 「そうだ。だが信用するのは、私の人格ではない。 利益へのこだわりだ。 それならできるだろう?」 「それも怪しいものだ。 おまえはゼットンの投入を察知して、真っ先に逃げ出しただろう」 「あのときは仕方なかったのさ。ゼットンは私の力でどうにかできる存在ではなかったからね。 だが、今は違う。私の力でも、あらがうことができる」 しばしの沈黙。やがて、ウルトラマンが口を開く。 「わかった。この場にいる間は、おまえを信用しよう。 あくまで仲間ではなく、同盟相手としてだが」 「それでいい。仲良くしようじゃないか、ウルトラマン」 右手を差し出すメフィラス。 ウルトラマンは渋々ながら、その手を取る。 「呉越同舟……」 「私の好きな言葉です、か」 「……ウルトラマン。他人の台詞を奪うのは、地球ではマナー違反だぞ」 【ウルトラマン@シン・ウルトラマン】 [身体]:本郷猛@シン・仮面ライダー [状態]:健康 [装備]:タイフーン 仮面ライダーの戦闘服 ヘルメット@シン・仮面ライダー [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる 1:メフィラスはとりあえず信用する [備考] ※参戦時期はゼットン撃破後 【メフィラス@シン・ウルトラマン】 [身体]:風祭真@真仮面ライダー・序章 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる [備考] ※参戦時期は地球を去った後 【タイフーン 仮面ライダーの戦闘服 ヘルメット@シン・仮面ライダー】 本郷のバッタオーグとしての力を引き出すための装備。 これらを起動することにより、本郷は「仮面ライダー」となる。 なおヘルメットは、一般的なバイク用ヘルメットに変形することも可能。 28 逃げ出すよりも進むことを君が─── 投下順に読む 30 光を前に闇で構えろ GAME START ウルトラマン 本編29 シン・剛アックス GAME START メフィラス
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/350.html
解けていく体、アンチATフィールドが人の心の壁を取り払っていく。 他人が自分になり自分と言う概念が融解し、皆が一つになっていく。 そびえたつ墓標に煌いていく光の十字架。つきを睨むほどの巨大な人影が背に希望と終焉を告げる羽を広げていく。 より城となる白の巨人達は自らの胸に槍を刺し、全てを終わらせる門の扉を開いていく。 嗚呼、人はかくも弱気生き物なのか。全てのヒロイン達は救いを求めて自らその白き天使へと体をゆだねていく。 「ああ、シンや……シンが」 「こ、これでずっと便乗出来る!」 「パパーー」 「ああ、ずっと殴れるのね……いや、甘えても良いのね!」 「何回刺しても死なないなんて素敵♪」 「もう、浮気もされない……寝取られもしない」 オレンジ色の液体があちこちに散乱していく。LCL、生命のスープ、原始の海がこの星を包んでいく。 溢れるほどの大量の想いと恋心を吸収して、その白きメシア、シン=アスカは人類の新たな象徴となり この青い星の大地を全てを無に返し、最初から何もかも始まりを告げさせる。 これから数億数千と言う時を経て、この星が滅びるまでにまた第二のシン・アスカが現れるかもしれない。 しかし、また人類は同じ結末を求め、この選択を選ぶだろう。なぜならそれが人だからである。 何度同じ悲劇を繰り返そうと月に眠りし最後のシ者はこう告げる。 カヲル「……嗚呼、また君は(キラ、アスランと続いて)サードのだね」と レイ「と言う事でシン類(シンが好きな類友)補完計画を遣ってみようと思うんだがどうか?」 シン「なんかさ。やっちゃダメなんだろうけど凄くやりたいんだがorz 良いのか本当に?」 エヴァ量産機A「いつでも任せな」 エヴァ量産機B「おうよ! こんな小さい男の子にいつまでも苦労させてならないからな!」 エヴァ量産機C「俺達がガブの部屋を開いてやんよ!」 レイ「ほら、皆もああいってるんだ。此処は一遍ゆだねてみてはどうか?」 シン「……ううっ。見た目がアレなのに優しさが身にしみる」 エヴァ量産機D「いくら冥王でもATフィールドは貫けないしな、安心すると良い」 エヴァ量産機E「つーか、俺達いくらでも再生するしぃ? 余裕じゃね?」 エヴァ量産機F「うっしゃ! また、S2機関フル回転させますかね!」 エヴァ量産機G「ダミープラグの準備いつでも良いぜ!」 エヴァ量産機H「ウホッ。いい量産機。(補完計画)やらないか」 エヴァ量産機I「おっしゃあああああーーーーーー! 行くぜお前ら!」 エヴァ量産機J「ガッテン!」 シン「よ、よろしくお願いします」 レイ「良かったな。シン、これで救われるぞ」 シン「ありがとう、世界にありがとう。皆にありがとう。俺はもう此処に居なくて良いんだ!」 エヴァ量産機全員「シン類補完計画承認!!」 シン「…・・・ありがとう。そしてさようなら、皆」 シン・アスカ女難スレ劇場版「まごころを、シンに」後悔未定 一覧へ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/213.html
朝。 いつもより大分速く、シン・アスカは目を覚ました。 目をがしがしとこすりながら布団から這い出る。 睡魔を振り払いつつ、タオルと歯ブラシを引っつかんで洗面所へ。 顔を洗い、歯を磨く。 いつもより速く起きたせいか、大抵一緒になるエリオとも出会わないまま、シンは自室へと戻ってきた。 「……なんか眠気が抜けないなぁ」 頭と身体(何故か胸の辺り)に重さを感じながらシンは呟いた。 このまま調子が悪かったら後でシャマル先生に診てもらおうと思いながら、シンは着替えるために寝巻きの上着を脱ぎ捨てる。 そして、自分の変化に気が付いた。 「うわああああああぁぁぁぁ――――――――――ッ!?」 余談だが、この時のシンの悲鳴は六課中に響き渡ったという。 「どうしたんですかシンさ――ごめんさい間違えましたぁっ!!」 建物を震わせる大絶叫を聞いたエリオが何事かとシンの部屋に飛び込み、 飛び込んだ時の倍の速度で部屋から飛び出して行った。 一方シンは己の変化を未だ受け入れられずに呆然としていた。 改めて鏡を見る。 何故か髪は腰に届く程長くなっていて。 そして胸には。胸には、二つのふくらみが。 「な、何なんだよこれえええぇぇ――――っ!!!!」 エリオが飛び出して行った理由。 それは、部屋の中に上半身裸の”女性”が居たからである。 「エリオ君おは……よう……?」 「おっはよー、エリオ……?」 「おはよ……ええ?」 集合場所に現れたエリオに対してキャロとスバルとティアナが挨拶を返す。 全員最後が疑問形になっているのは、エリオの後ろに見慣れぬ女の子が立っているからである。 六課の制服のズボンに上はTシャツ一枚。上着は肩にかけている。 艶やかな黒髪が腰辺りまで伸び、整った顔立ちと抜群のスタイルを持つ美少女がそこに居た。 しかしながら、青汁を数十杯一気飲みしたかのような表情がその美貌をぶち壊しにしていたが。 「ねえエリオ。皆を代表して聞くんだけど、その娘誰?」 エリオは一度横の女の子を見て、もう一度ティアナを見てからその質問に答えた。 「…………シンさんです」 「……はぁっ!?」 「うっそー、シン可愛いー!!」 驚愕するティアナに対し、一瞬で順応したスバルはシンに抱きつこうと突進していた。 「だああぁ! 寄るなスバルっ!!」 「いいじゃん今は女同士なんだしさ――!!」 「ていうか手をわきわきさせるなぁ――!!」 性別が変ってもシンの運動能力は健在のようで、スバルの突進はあっさりかわされる。 「あれがシン? 冗談よね。うんきっと冗談よ。もしくは夢、夢に違いないわ。男のシンが私より可愛いなんてそんなのありえないものね……」 「ティアナさん! き、気を確かにっ! とりあえずクロスミラージュを仕舞ってください!!」 騒がしく飛び回る二人の横で、錯乱を始めるティアナをキャロが必死に止めていた。 数分後。 「……厄日だ」 蜂蜜入りの青汁を数十杯一気飲みしたかのような表情でシンは呟いた。 はしゃぐスバルとヤバイ目をしたティアナを何とか捌ききり、今は医務室にてシャマル先生の診察結果待ちである。 「お手上げね。治し方が全くわからないわ」 「え゛?」 「な、なんかヘンな薬品とかロストロギアとか! そんなんじゃないんですか!?」 「薬物反応は一切無いわ。そんな効果を持つロストロギアなんて聞いた事ないし、そもそもシンはロストロギアに関わったことないでしょ?」 「じゃあ、俺は、もしかして、一生、このまま……?」 「今のところはそうなるかしら。大丈夫、女の子ってのも楽しいものよ♪」 「――――――」バタリ 「あら気絶しちゃった」 ※シンの性別反転が六課全域に知れ渡るまでの所要時間→三十分 受け入れがたい現実に敗北し、シンが意識を手放してからきっかり一時間後。 シンは今部隊長室に居た。 些細な用事で来た筈なのだが……部屋には非常に重苦しい空気が充満している。 もはや息苦しさを覚える程のプレッシャーを放つのは三人の娘達。 彼女達の名前は八神はやて、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン。 六課の隊長三人であった。 「……黒のゴスロリ」 沈黙を打ち破るかのごとく、フェイトが口を開いた。 口にした単語は非常にアレなのに表情が至極マジである。 「黒髪長髪に赤目……この要素に最も合うのはこれしかないと思うんだ……!」 この隊長ナニ口走ってんだろうとシンは思ったが、言葉には出さなかった。 「フェイトちゃんの気持ちはわかる。でも、私は譲る気ないよ……今のシンにはピンクのフリルだって!!」 フェイトの隣に座ったなのはが口を開いた。無駄に熱の篭った口調である。 視線でぶつかり合うなのはとフェイト。 そして、二人の中央にて未だ沈黙を守るはやて。 (何でこんな事に……) 事の発端はシンがはやてに言った、 『今後どういう服装で過ごせばいいのか』 という質問である。 男性用の制服でいいのか、女性用を着なければならないのかという簡単な質問だった。 だというのに、それはいつの間にか『今のシンに一番似合う服は何か』という論議にシフトしていた。 ……ホントに何故だ。 「まあ落ち着きや、二人とも……」 ここにきてはやてが口を開く。 今のなのはとフェイトを炎に例えるならば、落ち着き払ったはやては正に氷そのものである。 その異常な落ち着き振りに対し、二人からはやてへ怪訝そうな視線が向けられる。 「二人の意見はどっちも正しい……それは仕方の無い事や。人の数だけ好みはある……でもだからこそ、このままじゃ一生結論が出えへん」 はやてが目をつむったまま言葉を続ける。 「というか私思うんよ。前提が間違ってるんやないか、って」 相変らず落ち着き払ったはやての姿に、シンは少し希望を持った。 もしかしたらはやてはこの論議を正しい道に戻してくれるのでは無いか、と。 「ちなみに私はセーラーを押すで」 とりあえずこれは聞かなかった事にしたが。 「それはさておき……そもそも、や。何でシンに着せる服を一着に絞る必要があるんや? 逆に考えるんや。満足するまで色んな服を着せればいい、と」 ――あれ、何だか嫌な予感がするぞとシンは背筋が冷えるのを感じた。 というか何故そこで残りの隊長二人はハッとしたような顔になるのだろう。 「さて……ここにシャマルから預ったシンの診断書がある。その最後の一文にこうある」 『何故か今のシンにはリンカーコアがあるみたい。今なら魔法使えるんじゃないかしら』 「魔法が使える→デバイスが使える→バリアジャケットが出せる→ジャケットは任意に変更できる……つまり!」 「自 在 に き せ か え で き る ん や――!!」 やーやーやー。 ばーんと机を叩いて一連の流れを高らかに宣言するはやて。 瞬間、シンは次の行動を決めた。 ――逃げよう。 直感ともいえる危機察知能力で、シンは逃亡を決意。 脚のバネを精一杯引き絞り、ドア目掛けて一直線に駆け出した。 スバル&ティアナ戦にて運動能力が落ちていない事は実証されている。 隊長相手でもフイをうてば逃げる事くらいはできる筈……! だがしかし。 「うわぁっ!?」 走り出そうとした瞬間、何かに足を取られて前に大きくつんのめる。 何事かと足を見ると、シンのやや細くなった足首を桜色の環がガッチリと捕まえていた。 「せ、設置型バインド!?」 「――どこに行く気だったのかな?」 それはとても甘い声だった。だというのに、何故こんなにも恐怖を感じるのだろう。 ギギギと後ろを振り向くシン。 そこには、蕩けるような笑顔の隊長三人娘が居た。 「駄目じゃない、逃げちゃ……」 「こわくなーい、こわくなーい……」 「恥ずかしいのは最初だけやー……」 「そ、そんなに着せ替えがしたいのかっ! アンタ達はああああぁぁぁ――!?」 シンの最後の抵抗に等しい慟哭は、誰にも届かなかったという。 フリード「クキュー!(続く!)」 昼時。 多くの人で六課の食堂は賑わっている。 一心不乱に食事を貪る者、仲間と楽しく談笑するもの、 そこには多種多様な人達が居る。 共通しているのは只一つ、みんな”楽しそう”であるという事だ。 その中に周囲とは正反対のオーラを発する少女が一人。 名前をシン・アスカという。 「…………………………はあぁぁぁぁ」 腰まで届く黒髪は両サイドで結ばれてツインテールに。 服装は所々にフリルをあしらった紺のワンピース。 相当酷く恥ずかしく屈辱的な格好である。 だが先程までの苦行に比べるとまだマシと思える辺り……シンの感覚も既にマヒを始めているのかもしれない。 というかここ仮にも軍隊だろう。制服じゃなくていいのか。 ちなみに最初に着ていたTシャツとズボンは”剥ぎ取られ”た。 以降、行方が知れない。 「しっかしまあ……」 「似合ってるねー」 対面に座るティアナとスバルがシンを見て言った。 少し前。 シンは昼食という大義名分を振りかざし、最凶三人娘の魔の手から脱出した。 そして逃げるように転がり込んだ食堂でフォワードメンバーと バッタリ遭遇。 一緒に昼食をとる事になったのである。 スバルには抱きつかれて撫で回され。 ティアナには哀れむような視線で見られ。 エリオとキャロからは『すごく似合ってます!』と間違ったフォローをもらった。 散々だった。 「ねーねー、シン」 「……何だよ」 身を乗り出してくるスバルにシンはなげやりに答える。 「他にどんな服着せられたの?」 「それはやなー」 シンが答えるよりも速く、スバルの問いに答えが割り込んできた。 質問に答えたのはシンでなくはやて。食事の乗ったトレーを置いてシンの隣に座る。 「……居たんですか部隊長」 「今来たとこや。なのは隊長とフェイト隊長も来るで」 言葉の通り、なのはとフェイトも直ぐにやって来た。 なのははティアナの隣に、フェイトはキャロの隣にそれぞれ座る。 三人揃ったせいで先程までの苦行を思い出し、シンは少し青くなった。 「さっきのスバルの質問に答えると……こんな感じや」 はやてがそう言った瞬間、周囲に小さなウインドが大量に出現した。 ポストカードサイズのそれ。 その総てが先程まで行われていた着せ替えフェスティバルのものである。 「ぶっ!? な、何なんだよこれはっ!?」 「当然、全部デバイスに記録してあるでー。ほいほいほい」 「アンタって人はあぁぁぁぁ!!!」 シンの咆哮など意に介さず、はやては更に画像データを展開する。 端的に現すとゴスロリとフリルと制服のオンパレード。 「わー、この服可愛いー!」 「せやろせやろ。私の一押しや」 「これなんかティアナも似合いそうだよね。今度着てみる?」 「な、なのはさんっ! 冗談止めて下さいよっ」 「二人はこれどう思う?」 「うわぁ可愛い服ですね――エリオ君にも似合いそう」 「キャロ!?」 というか隊長陣もフォワード陣もそれを肴に談笑し始めるのはどうなのだろう。 シンはというともう吼える気力も阻止する気力も無くし、机にぐんにょりと突っ伏していた。 ……何か外野もチラチラこちら(表示されている画像)を見ている気がする。 まあ気のせいだろう、きっと。 うん気のせいだ。 「ふふふ。場が盛り上がってきた所でリーサルウェポンの登場や」 ――まさか 背筋を冷たいものが流れる。シンには一つ、最悪の心当たりがあった。 談笑していたフォワード陣も自信満々なはやての様子に興味を持って注目する。 隊長二人は予想が付いているらしく『あー、あれかあ』という顔だった。 痛烈なまでの嫌な予感。シンははやてを止めようと試みるが、 「ちょ、待っ――」 結果的に間に合わなかった。 「ほんならいくで……ほい」 一瞬、場の空気が凍りついた。 画像に映っているのは無論シンである。 髪型は今と同じツインテールだが、まず服装が壮絶だった。 水着の様な服に、赤のベルトで留められたピンクのミニスカとニーソックス。そして身体を覆う黒のマント。 つまり、フェイトの昔のバリアジャケット。 またそれらの服はサイズが小さく非常にキツキツで、アングルは上から。 よって顔を真っ赤に染めた露出過多の美少女が涙目の上目遣い、 小さめのマントで身体を必死に覆い隠そうとしているという非常に妖しい事になっていた。 「うぅわあああああああああああああぁぁぁぁぁ――――ッ!!!!!」 予感的中。最大のトラウマが発動して頭を抱えて絶叫するシン。 朝から叫びっぱなしなシンだが、この時の絶叫は今日最高の絶叫だった。 ちなみにフォワード陣のリアクションは 「あはは、シン顔すごい真っ赤――!!」 「こ、これは……」 「えい」 「――ッ!!!!!」 上から順に 無邪気に楽しそうなスバル。 何故か頬を染めて食い入るように見入るティアナ。 エリオの目に可愛らしい指を深々と突き立てるキャロ。 断末魔の絶叫と共に目を押さえて悶絶するエリオ。 といった感じである。 「いやー、これの破壊力は今見ても恐ろしいなぁ」 「はやてなんか鼻血出してたもんね」 「や、八神部隊長……この画像後でクロスミラージュに送っといてもらえますか」 「あれ? 何でティア顔赤いの?」 「昔はフェイトちゃんもあれ着てたんだよ、キャロ」 「そうなんですか。昔のフェイトさん……ちょっと見てみたいなあ」 「目が! 目がぁ――!!」 転がっているエリオを除いて、より一層話に花を咲かせる女性陣。 だが、その楽しげなオーラを侵食するように周囲に黒いオーラが満ち始める。 「ふ、ふふふふ。はははは……」 オーラの発信源たるシンが、乾いた笑い声と共にゆっくりと顔を上げる。 その変化に真っ先に気が付いたのは、対面に座るスバルとティアナの二人だった。 「シンの目から……」「光が消えてる……!?」 乾いた笑いが止み、シンがゆらりと立ち上がる。 シンは視線を何処にも向けず、ふらふらと歩き出し―― 「薙ぎ払ってやる! すべてええぇぇぇぇ――!!!!」 高らかに絶叫し、ずだだだ――っと弾丸の如く走り去った。 残された面子はその姿をしばらく見守っていたが、ふいにフェイトが何かに気が付いた 「あっちは格納庫……? そうか! デスティニーを持ち出す気なんだ!!」 その場の全員に戦慄が走る。 デスティニーの兵器としての戦闘力は既に周知の事実。 更に今のシンは精神が相当イっている節があるため、何をやってもおかしくない。 隊長達の判断は迅速だった。視線を一度だけ合わせた三人はそれぞれ行動を開始する。 「フォワード陣ついてきて! シンがデスティニーに乗る前に勝負をつけるよ!!」 『了解!!』 目潰しから復帰したエリオも含め、フォワード陣がなのはに勢いよく返事を返す。 はやては司令室へ、なのはとフェイトとフォワード陣はシンを追って駆け出していった。 「……平和ねぇ」 少し離れたテーブルで、騒がしい一団を眺めながらシャマルが呟いていた。 結局、デスティニーへの搭乗は阻止できたものの。 シンを無力化するのにそれから一時間を必要としたという。 インゼクト「……」(無数に集まってつづくの文字を作っている) 八神沢症候群へ戻る 電王小ネタ 一覧へ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/949.html
「―――つまり、花を長く咲かせるには花の種類以上に周囲の環境が重要ということよ」 はあ、と反応に困る講釈を延々と続ける彼女、風見幽香にシンはそう生返事を返す。 ………よりによって「彼女」に対して適当に返してから、しまったと思うがもう遅い。 「へぇ、「はあ」? わざわざ時間を割いてとてもとてもありがたいお話をしているっていうのに、 あなたは「はあ」なんてつまらなさそうな言葉を返すのね? 悲しいわねぇ、とても悲しいわ。 あんまり悲しすぎちゃって………」 うふふ、と笑いながらも幽香はその眼を僅かに鋭くする。いくら演技だとは分かっていても肝が冷える。 ………一度、彼女に腕をねじ切られたシンにとっては尚のことだ。沈黙の後に何が続くかなど考えたくもない。 幽香の恐ろしさは身にしみて分かっている。分かっているのに……… 「俺の馬鹿」 「そうね、馬鹿ね。人の話を聞かないんだもの」 そんなことはないですよ聞いてましたよーと、 シンは相変わらずくすくすと眼以外は笑っている幽香に全身全霊全力全開を以て弁明をする。 (苦手だ…! この人は苦手だ………!) 別に、シンは年上の女性が苦手なわけではない。むしろ大好きだ。 というより「きれいなおねーさん」が嫌いな男性などいるわけがない。 いるんだとしたらそれはどこぞの某アスラン・ザラという名のモーホーぐらいのものであろう。 だが。この風見幽香という女性に対しては話が違ってくる。 凄まじく強い、ということは別段問題ではない。 それが問題になるのなら地の底の鬼、星熊勇儀や妖怪の山の軍神、八坂神奈子などは大問題外であろう。 Sッ気がある、というのも、まあギリギリ問題ではない。 永遠亭の薬師、八意永琳にくすくすと笑われながら傷薬を塗られるのはなんともいえないくすぐったい気持になるし、 完全で瀟洒なメイド、十六夜咲夜に鼻で笑われると悔しい気持が湧き上がり、次は頑張ろうという気分になる―――関係ないが、 八雲紫はSッ気があるとは言わない。あれは唯ひたすら胡散臭いだけである。大体男の趣味悪いし。―――のだから。 しかし。この太陽の丘のフラワーマスター、風見幽香の場合は。 「ちょっと、あなた聞いているの!? 何遠い目をしてるのよ人の話はちゃんと聞きなさいって親から教わらなかったの 馬鹿じゃないの何考えてるのよちょっとちゃんとこっち見なさいよ!」 これである。とにかくこの風見幽香という女性、年上が持つはずの余裕がまるでない。 自分が会話の主導権を持ってるうちはいいが、少しでも自分が主導権を失うとすぐに余裕を無くし、 会話の主導権を無理やりにでも握ろうとする。 それに加えS中のS、アルティメットサディスティッククリーチャーである。正直面倒なことこの上ない、まったくこれだから 「これだから何?」 「なんでもありません、サー!」 このままでは確実に命にかかわる。何か話題はないか何か話題はないかと周囲を見渡し、 ―――花畑の外れに「それ」を見つけた。 サラサラと櫛を通す必要すらない茶髪、細身の、だが決して痩せすぎているわけではない整い過ぎた体躯、 吸い込まれるような、いっそ胡散臭ささえ漂わせる紫の瞳、端正な、まるで作り物の蝋細工のようなその顔、 どこからともなく「ドドドド」だの「ゴゴゴゴ」といった音が聞こえてきそうな 確実に人体関節を無視しているとしか思えない奇妙極まりないポージング。 そこには、最高のコーディネイター、通称スーパーコーディネイター自称スパコー、キラ・ヤマトが立っていた―――全裸で。 (こ っ ち く ん な) そう強く念じるが、現実は非情である。 「やあ、シン。どうしたんだい、こんなところで?」 爽やかな笑顔とともにキラはこちらに手を挙げる。全裸で。 「………なに、アレ」 幽香の顔も声も引き攣っている。それはそうだろう。シンだってどうしていいのかなんて分からないのだから。 そうこうしているうちにキラはこちらに向かって駆けてくる。全裸で。 シンに向かって久しぶりー元気だった―?と聞いてくる。全裸で。 へんじがない、ただのしかばねのようなシンにどうしたの?大丈夫?と心配そうな顔を浮かべる。全裸で。 同様に呆然としている幽香に向かってああ、はじめましてキラ・ヤマトですと挨拶をする。全裸で。 す、とまっすぐ手をかざした幽香を不思議そうに見つめる。全裸で。 かざされた手のにおいをスンスンと嗅ぐ。全裸で。 恥ずかしい話なんですが………ふゥ~…〈放送禁止〉しましてね……とキラ違いの言葉を言い放つ。全裸で。 幽香から放たれた本家本元マスタースパークによって、キラは光の奔流の中に飲み込まれていく。 全 裸 で 。 「………相変わらず不死身ですねーアンタ。あのまま死ねばよかったのに」 あの後、「ふう、死ぬかと思ったZE☆」とあちこちが焦げた―――いつの間にか服を着ていた―――キラにシンは今更ながらの言葉を吐く。 「あはは、やめてよね。あれぐらいでこの僕が死ぬわけないじゃない? 君は間抜けなの? ヴァカなの? 死ぬの?」 「てへへ、それもそうですね、いやぁ残念残念。キラさんなんてあのまま塵になってしまえばよかったのにー」 そんな至って日常的な会話を繰り広げる二人に幽香は胡散臭そうな眼を向ける。 「え…と、あの……ソレ、何?」 相当気持ち悪かったのであろう、キラをすごく嫌そうに指さす。 「ああ、キラさんですか? どこからともなくやってきてしまった俗悪生命体ですよ。 大丈夫です、至って害悪ですからプチッとやっちゃっても問題ありません」 「ひどいこと言うねぇこの童貞は。チェリーは。青い果実は。さあどれがいい!?」 「うるせぇ。ホント死ねばいいのに」 納得は…イマイチできていないのだろう、「ふーん」という胡乱な声が返ってきた。 「んで? なんでまたアンタこんなところに?」 「うん、ゆかりんからの頼まれごとでねー。 ゆうかりんから、ああそんな睨まないでよゆかりんがそう言ってたんだから。 なんだったっけ、そう、ゆうかりんから向日葵の種を貰ってきてって」 幽香は何も言わずに麻袋たっぷりに詰め込まれた30kgはありそうな向日葵の種をキラに向かってブン投げた。 何事もなくかわされてしまったが幽香は特に何も言わなかった。これをやるからさっさと失せろ、ということだろう。 「はい、確かに。それじゃあお暇しますねー」 「二度と来るな」 ぎろりと睨む幽香に肩を竦め、キラは軽々と麻袋を担ぎあげる。そしてそのまま花畑を後にしようとして。 それにしても、と呟く。 「聞いていた通りの人ですね」 「碌でもないうわさ話を気にするほど心は狭くないわよ。だから誰から聞いたかとっとと話しなさい?」 実に噛み合ってないやり取りを耳にしているシンに、なんとなく嫌な予感が起こった。 これ以上キラに話をさせるとまずいことになる。そんな予感がする。 「あの、キラさ」 「まあ誰からっていやぁシンからなんだけどね?」 「へぇ………く わ し く」 ギタリ、と音を立てそうな勢いで幽香は口を歪ませる。…嫌な予感が、加速した気がする。 「いやーだめだよーそんなーシンをうるなんてことーそんなことーぼくにはとてもできない」 嘘くさい。というか嘘だろう。棒読みだし大体キラ眼が笑ってるし。 「いいからとっとと吐けっつてんのよこの変態!変態!変態!」 だが幽香は気付かない。ヒートアップした幽香はその嘘くささに気付けない。気付かずにキラを罵倒し続ける。 「あふんもっと言って♪……と、言いたいところだけど。あまり調子に乗るんじゃないよ、この………」 ――――嫌な予感が最高潮に達する/キラの口がにたぁ、と笑う。 「キラさ」 「処 女 の 分 際 で………ってシンが言ってた」 ―――瞬間、空気が凍った。 幽香の口が「た」の形で固まる。あまりの衝撃だったのだろう、視点が定まらず眼は虚ろだ。よく見ると足がかくかくと震えだしている。 シンの目が静かに閉じられる。この展開を予想できなかった自分が情けなくてたまらない。自分を殴りたい思いでいっぱいだ。 キラは―――唯ひたすら笑っている。ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤと笑っている。 「じゃ、僕はこれで! ぼかぁゆかりんとの愛の巣に戻らなければならないんだぼかぁ!」 「待 て や 。……どういうつもりだ、キラさん?」 その言葉に、キラは深く頷く。 「てへ♪」 「死ね!」 「大丈夫大丈夫、君ならなんとかなるって自分を信じなよ大丈夫、魔法の言葉をかけてあげるよ」 ニコリ、と笑い、そして 「キラッ☆」 「うぜええええええぇぇぇぇ!!」 「わざわざツッコんでeraいeraい。……じゃ、今度こそ僕はこれで!!」 そのままキラは高笑いを響かせながら八雲の家に―――どこかなどは分からないが―――飛んで行ってしまった。 置いて行かれたことへの憤りは、勝手なことをのたまいやがった怒りは、なんで全裸だったんだという疑問は、 「………なんで」 幽香への戦慄へと、とって代わった。 ぶつぶつと何かを呟いている。………よく聞こえない。仕方ないので数々の女難で培われた読唇術を使う。 知られた、だの、隠してたのに、だの、よりによって、だの、こうなったら隠滅するしか、だの。段々と物騒になっていく。 懐に手を入れる。目が合った。 デスティニーの起動スペルカードをまとめて握りしめる。涙目になっている。 懐から4枚のスペルカードを取り出す、1枚足りない。顔も紅潮している。 足りない1枚を急いで取り出す。拳をギチギチと音をたてて握りしめる。 5枚を放り投げ宙に舞わせる。とてつもない笑顔。 起動準備が整う。跳びかかる。 「デスティニ「あは、死んじゃえ♪」ーってうおあぁぁああ!?」 ―――その日。太陽の丘は幻想郷より消滅した。 「後日、怒り狂ったシン・アスカが「キラの大馬鹿野郎はどこだーーー!」と鬼の形相で某スパコーを探し回ったり、 風見幽香が博麗霊夢にえぐえぐと泣きついているところを魅魔に目撃され一悶着あったり、 シン・アスカが霧雨魔理沙にうっかりパルマしてしまいアリス・マーガトロイドに粛清されかけたり、 キラ・ヤマトと八雲紫が相も変わらずところかまわずいちゃついていたりしたが、 それも最早幻想郷では日常であり、今日も幻想郷は平和なのであった―――と」 「いやもうどこからツッコんでいいのやら………しかし文さん。それ本当に文々。新聞にのせる気ですか?」 「あら椛。何か問題でもある?」 「どう考えても問題だらけな気が………確実に敵に回りますよ、あの風見幽香が」 「大丈夫大丈夫、なんかあって逃げ切れるわよ。私の速さをなめてもらっちゃあ困るわね」 「いやいやそういう問題じゃないですよ!」 「いいのいいの。民衆には知る権利というものがあるんだから。 私たちブン屋はその権利をこれでもかこれでもか らめぇそんなたくさんこわれちゃうよぉひぎぃってな感じで満たしてあげなきゃいけないんだから」 「うわあ、タチわるっ」 「ふん、なんとでも言いなさい。それじゃあ私はこの号外を幻想郷中に配りに行くという使命があるので、したらば!!」 「いいのかなぁ、本当にいいのかなぁ………」 ―――無論、いいはずもなく。翌日こんがりいい匂いを漂わせる焼鳥になった文のおかげで人間の里の焼鳥屋は大忙しになったのだけれど。 だが、それすらも最早この幻想郷では日常であり。今日も幻想郷は平和なのだった。 次へ 一覧へ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/373.html
見切りガード・・・DUEL SAVIORシリーズの戦闘システムの一つで、敵の攻撃をいいタイミングでガードボタンを押すとピキーン!と音が鳴って ダメージを受けないついでにすぐにコマンド入力可能と便利なシステム。 分かり易く言えばメルブラのシールドである。 シールドとは違って、技によってはタイミングがたまに違ったり、何回も押さないといけない技もあるので注意が必要である。 シン「ねんがんの 見切りガードをマスターしたぞ!」 大河「ニア 殺してでも うばいとる というのは冗談で、何に使う気だ?」 シン「はやて隊長達の魔法攻撃をまともに受けてたらいつか死ぬかもしれないと思い、なら受け流そうという結論に達した」 大河「はやて隊長って・・・シンが逃げてくる前の所に居たってヤツか?」 シン「ああ、見切りガードはちょっとナナシに頼んで練習させてもらった。」 大河「そういえば、ナナシが「遊び相手が増えて嬉しいですのぉ~♪」とか喜んでたけど、シンの事だったのか」 ドゴォォォォン!!!! 大河「なんだ!?今の爆発音は・・・空からか?」 シン「もう見つかったか・・・というよりどこまで追って来る気だorz」 はやて「やっと見つけたで!シン!さあ、元の世界に帰ろか」 なのは「シンは一回、頭冷やそうか・・・」 フェイト「そうだね、冷やすといいよね♪」 大河「おぉ!?カワイコちゃんがいっぱいだぜ~♪」 シン「大河は黙っててくれ・・・」 大河「そもそも、どうして逃げたんだ?こんなに可愛い子がいるなら俺の夢見たハーレムそのものじゃねぇか?」 シン「もう我慢の限界だったんだ! 八神部隊長は、俺の部屋のPCに差出人が「yagami」のメールが何百通も来るし! なのは隊長は、頭冷やそうかの後のS.L.Bは身が持ちませんし! フェイト隊長は、「便乗♪」とか言って行く先々に何故か居るし! 後その他色々、とにかく俺は帰らないですからね!」 大河「シン・・・それなんてエr(クロスモード…シュート なのは「邪魔者は居なくなったし・・・バインドで拘束して連れて帰るよ、シン」 シン「いっつもそうやって、やれると思うなぁーー!!」 ピキーン!(バインドを見切りガード)→バックダッシュでその場から逃れる→脱兎 はやて「な、なんやて!?バインドがかわされた!?待ちや!シーン!」 なのは「逃がさないなの!シン!」 フェイト「そうだね、逃がす訳ないよね♪」 後に騒ぎを聞きつけた救世主候補生達が見た物は黒こげとなり放置された大河と数々の破壊の後であった。 シンが無事に逃げ切れたかどうかは誰も知らない。 リコ「・・・バカばっか・・・」 一覧へ